地底たる謎の研究室

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対数螺旋を用いたオウムガイ形状への適合



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:対数螺旋を用いたオウムガイ形状への適合
報告者:ダレナン

 本記事は、この記事の続きです。

 オウムガイは頭足類でタコやイカに近縁の仲間であり、すでに絶滅したアンモナイトと同じような形状を持つが、軟体動物の系統にも含まれる生物でもあることから、貝類にも分類される1)。初期のオウムガイ亜網の殻は今と異なり螺旋形ではなく、まっすぐに成長するものが多かったが、デボン紀以降では螺旋状の殻をもつグループが繁栄している1)。現生のオウムガイ科は、6種類ほどに分類され、画像などで散見されるのは、オウムガイか、オオベソオウムガイになる1)。ちなみに、その螺旋状の殻の横断面を見ると図1のように美しい螺旋形状を有する。美しい螺旋であることから、これを美しさの象徴、あるいは、自然界に潜む比率として知られる黄金比(1:1.618)(The Golden Ratio)で見る場合も少なくはない。しかしながら、オウムガイの殻の横断面に黄金率を一致させると微妙に異なることも指摘され、成長の螺旋度度合いが4/3に近くなることから、黄金二重比(1:2.1618)や対数螺旋で近似させた方がより適合が高い3)。



図1 オウムガイの横断面図2)

 対数螺旋は極方程式によってr(θ) = aebθのように定式化される4)。ただし、aはスケールファクターにつき、実際のパラメータは b のみとなる4)。文献4)ではこの対数螺旋を用いて、アンモナイト形状の適合を試みている。そこで、本記事ではこれに習い、現生オウムガイの外観から、この対数螺旋がオウムガイ形状に適合するかを検討したい。そうして、この記事に引き続き、オウムガイ、から、の筆者のやり貝といき貝にも導かれ、まさに、今、オウムガイさまさまである。
 対数螺旋のグラフの描画は、文献4)と同じくgnuplotを用い、set trange [0:39] 、a=1.0、b=0.16とし、set style fille transparent solid 0.4のスクリプトで透過画像を得た。そして、出来上がった螺旋対数の透過グラフを文献5)の現生オウムガイの泳いでいる撮影画像に重ねた。それが、図2である。撮影画像に関しては切り出ししたものの、縦横の画像サイズは変化させていない。同じく、螺旋対数のグラフも縦横サイズは変化させていない。しかしながら、図2を見ると、完全に外観からのオウムガイ形状も適合している可能性が示唆された。そのため、このオウムガイの内部構造も対数螺旋に従って図1のようになっていることも予想された。



図2 対数螺旋を用いたオウムガイ形状への適合(背景は文献5)を切り出した)




1) 佐々木猛智: 貝類学. 東京大学出版. 2010.
2) https://www.wallmonkeys.com/products/close-up-chambered-nautilus-displays-wall-mural-ngo-14920 (閲覧2019.2.27)
3) Meisner, GB (著), Araujo, A (アーティスト): The Golden Ratio: The Divine Beauty of Mathematics. Race Point Publishing. 2018.
4) http://tsujimotter.hatenablog.com/entry/logarithmic-spriral (閲覧2019.2.27)
5) http://footage.framepool.com/ja/shot/327259907-chambered-nautilus-pearl-oyster-boat-palau-micronesia (閲覧2019.2.27)

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