地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

ビートルズ的ラーメン



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:ビートルズ的ラーメン
報告者:ダレナン

 本物語は、この物語の続きです。

 連日、ラーメン女子の時代が到来した如く(この物語)、猫ラーメンには多くの女子が店に来た。もはや店の前に立つこともいらず、僕は厨房でおやっさんと一緒にラーメン作りに励んだ。
 勤め始めた当初は、どのように行動すればよいのか、その勝手が分からなかったものの、次第におやっさんのラーメン作りには、バンドマンらしい一定のパターンがあることが分かった。まず、麺を茹でる際には、I Want To Hold Your Handを口ずさみ、次に、丼を温め、スープを注ぐ際には、Hey Judeを口ずさみ、そして、湯切りの際には、Let It Beを口ずさみ、最後の具をのせる段階では、She loves youを口ずさむのだった。これぞ、ビートルズ的ラーメン。なるほど、おやっさんのリズミカルな動きの根底には、ビートルズがあったのだった。それが分かるようになると、次に何をすればよいのか、すぐに理解できるようになった。ある時、おやっさんはこう言った。

「ガエールくんは、仕事の飲み込みはえーな。店が込んでいても、おっちゃんは、ラーメン作りが随分と楽になったべ」

「おやっさん、バンドメンだから、実にリズム感がいいですよ。僕も毎日、それを見習っています」

「おっ、そうか。ガエールくん、ええこというなー」

 そうして、二人三脚でもって猫ラーメンが繁盛した。相変わらず店内には女子が多く、厨房に立っている時も、パシャパシャとスマホで隠し撮りされている感じはあったが(図)、店が繁盛すればこの上ない。おやっさんも昔の活気を取り戻したような店の勢いに、喜びをかみしめているようであった。
 ある日、麺やスープが底をつき、店を早めに閉め、早々と明日の仕込みをしていた。時間的にも余力があったことから、以前から気になっていたことをおやっさんに聞いてみた。



図 隠し撮り1)

「おやっさん。なんで猫ラーメンという名の店なんですか?」

「なーに。嫁が猫好きだったから、「新しい店の名前は、猫ラーメンってどうかしら」ってな具合でな。「じゃー、それにするべ」と」

1) https://www.photo-ac.com/main/search?q=隠し撮り&srt=dlrank (閲覧2019.12.21)

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