題名:呼び込み
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
「おはようございます」
「おっ、あんちゃん、ガエールくんだっけ。今日からおっちゃんとのラーメン道の修行だべ。よろしくな」
そうして、おやっさんの猫ラーメンで、僕は従業員として働くことになった。これから目指すラーメン道の極みに、胸が高鳴った。
「まずはスープの仕込みやで。こーして、こーして、こーするんやー。まっ、今日はよう見とけや」
その丁寧なまでの作業に、やはりおやっさんはラーメン道を究めた職人だった。猫ラーメン、いやおやっさんを選んで正解だった。僕は昔からこの手の選択に迷うことはない。なぜなら物心のついたころから、他人のオーラが見えるからだ。おやっさんのそれは、とても輝いていた。間違いない。この人には何かある。
「ガエールくん。そろそろのれんだしてーや。営業はじめるべ」
営業を始めた。しかし、なかなか人はこなかった。
「ガエールくん。実はな、最近、この界隈でラーメン店が多くなってな。ちょっと以前より人が、くる人が、少ないんや。おっちゃんは、ラーメンには自信あるんやけど、他の店はな、サイドメニューもよーけあってな。本当にうちのラーメンが食べたい人しか、最近、こーへんのや。すまんな。初日からすまんな、こんなこと告ってもうて。昔は繁盛してたんやけどなー」
「いやいや、おやっさんのラーメンは、日本一、いや世界一ですよ」
「そうか。ガエールくん。ええやっちゃな」
「僕、店のおもてで呼び込みしてみますよ」
「そうか。ありがとな」 そうして、店の前に立った(図)。
図 店の前にて1)
1) https://www.pinterest.ch/pin/222224562849345965/ (閲覧2019.12.20)
From ここから。© 2015 This is 地底たる謎の研究室 version。