題名:”洗脳”
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
純潔を保ちつつも汚れるとはこのことかもしれない。そう思えたのはもっと後の事だった。
その日の勤務を終え、帰り際に「リトルおいで」を呼ぶと、僕に近寄るリトルには、何だかいつもと違う表情が見て取れた。何だかぼーっとしているというか、憑かれている。疲れているのではなく、憑かれている。そう感じた。確かに、勤務中にそのボス格のネコのトラーという名の彼を中心に何やらネコ同士で込み合った集会がなされている感じが、他のネコに食事を与えている勤務中の僕のはた目にも感じられた。リトルもその一団の中に居た。そこに、僕として勘ぐれば、”あやす”ような何かが、ネコ同士の交流であったのかもしれない。そう思えるも、ネコ語を知らない僕としては、その実態を知ることが出来なかった。
しかし、だ。
今日初めて気づいたことがあった。僕があげている食事とは別に、トラーを中心としたネコに対して特別な食事を、ゲツベさんが与えていることに。その行為は、その一団を、その一段の上として、さらなる結束を促す、促進させる行為でもあった。今思えば、それは、エリート階級をもつ特別なネコだけが享受できる特別な食事だったのだ。カナガンキャットフード チキン&サーモン ウェットタイプ。
図1)
ゲツベさんは、巧妙に、そのネコ一団に対してエリート階級へのプロパガンダを”操作”している。リトルも、今日、その中で”操作”されている。それは純潔を保ちつつ、その純潔を保つことで、他を排除する穢れを生む。
連れて行ったその日を境にリトルの様子は段々と変化していった。
僕によく見せた甘える表情はなくなり、いつも上の空を見つめていた。「にゃおーん」と返す言葉は、明らかに、その日とその日の前の日とで大いに違っていた。
リトルは僕が知らない間に、”洗脳”されている。
”あやす”→ ”操作”→ ”洗脳”
もうリトルは、かつてのリトルではなかった。リトルを勤務先には連れて行きたくはない。
そう頭では思いつつも、僕自身もゲツベさんからの”主”→”従”の関係に陥り、リトルをトラーの元へ連れて行くことが当たり前となっていた。
1) https://www.canagan.co.uk/canagan-cat-can-chicken-with-salmon-75g-x-12.html (閲覧2021.4.3)
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