地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

モーターがゆるりと始動した。



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:モーターがゆるりと始動した。
報告者:ダレナン

 本物語は、この物語の続きです。

 「これをクロックのコネクタに接続した後に、右に回すとオーバークロック、左に回すとアンダークロックとなります。ただ、(その機器は、実際の使用方法とは異なりますのでご注意ください。)ミチオ様がなすべきことは、接続した後に右にボリュームを少しづつ回す、ことになります。Snapdragonは次第に有機体のコンセプトを開示し、オーバークロックとなります。それによってスマホ内部と外部のドアが開き、スマホ内部に居るミチオ様の魂は、スマホ外部へと導かれます。スマホ外部にある魂の宿主、それはミチオ様の体になりますが、一体しかないため必然的に魂の交換がなされます。そして、ミチオ様の魂はその宿主に戻り、かつ、りどる様の魂はスマホ内部へと戻ります。その間、2.4 GHz、時間にして416.6 psです。その交換の時間では、さすがのりどる様と言えども、ミチオ様の宿主である体に戻る手筈は不可能です。お互いに魂が戻ると、Snapdragonは再活動し始め、その存在を留め、開示されたドアが閉じられます」
 とりあえず僕は何のことか分からなくとも、メモった。416.6 psも何の意味か分からなかった。P.S. I love youということなのだろうか。

「ああ あいしてるぜ きみ(エヴァンジェリン)を」

 僕はさっそく電流スピナーを探した。でも、手持ちの金がなく、とても新品には手が届かなかった。販売店は何台かあるものの、以前にりどると乗った電流スピナーが最新式だったとしたら、ここにあるのは、それよりも2世代、いや3世代ぐらい前の中古だろうか。若干、ボディも錆びついていた。本当にこれで空中に飛べるのだろうか。気になって販売員に尋ねてみると、「俺の事、信用してねーのか、おめえは」と逆切れされた。「いや、そうじゃなくて、若干気になって」というと、「じゃっかんだと…、これが、いるのか、いらねーのか」とまたもどやされた。「いや、これでいいです」と伝え、手持ちの金をすべて彼に渡した。金をもらうとその販売員はそそくさと奥の販売店の小屋に戻っていった。
 電流スピナーに乗り、スタートボタンを押した。うんともすんとも言わなかった。ダッシュボードを開け、説明書を調べると、古書ともいえるようなぼろぼろの説明書しかなかった。エナイさんによれば、型式が異なっても説明書はほぼ同じ、なはずだったが、どう見てもりどると乗ったあの電流スピナーと操作方法が大きく異なっている。少なくともあれは、ディスプレイでのタッチ操作だったような、それにこのコントロールレバー、りどると乗った車体のタイプと異なる。基盤もむき出しになっている(図)。そこで配線し直し、スタートボタンをもう一度押した。何かの金属片に触れた時のように静電気が指に走り、びりりと感じた。その時、モーターがゆるりと始動した。でも、その後、車体もかなりブルっていた。



図 レバー1)



1) https://www.amazon.co.jp/ジョイスティックレバー-基板タイプ静音高反発-小型アーケードジョイスティック-LEDカラフル-8から4に切り替える/dp/B07H6HLZH2/ (閲覧2021.6.17)

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