題名:愛ある理想の形
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
いろんな重い想いを背負いながら、僕はダイニングから寝床に向かった。ちょうど2時を回ったところだった。あと3時間もすれば僕は独りで起きて仕事に行かないといけない。憂鬱だった。舞衣子もちなみも相変わらずぐっすり眠っていた。
布団にもぐりつつその中で再びスマホを見た。舞衣子のブログと思しきURLをクリックした。まだ映画「青い珊瑚礁 Ce」のレビューはあがってはない。そのブログのプロフィールを再び見た。夫と娘1人の3人家族です、と書かれてある。しかもそのブログの持ち主は、まいっちーといいます、とある。それは舞衣子のあだ名だった。最近のレビューも家族で見た映画の内容が多かった。たぶん間違いない、このブログはやはり舞衣子のブログだ。
…ZZZ
うつらうつらで目を覚まし、ブルーライト下で、朝目覚めた。あたりはまだ暗い。僕は独りで朝食をとり、仕事へ行く準備をし、出かけた。
この時間だと駅にまだ人は少ない。でも、人の流動は世界が回っていることを痛感した。今日ぐらい仕事に行かなくても、自分なき状況でもきっと世界は回る。急にそう思えた。なにもかもがつまらない、色あせた。
少し休憩していると、次第に、少しづつ人が増え、駅も多くの人が集まってきた。ベンチの隣のおじさんは身なりからすると、駅周辺で相当に暮らしている無職の人だろうか。手持ちのラジオも、レィディも、(レディ)なくガーガーとなり、明らかにチューニングがあっていない。わすかにそのガーガー音の隙間をぬって競馬の情報が聞こえた。じっと見ていると、おじさんがこちらを見て、にやりと笑った。彼の前歯が欠け、彼の目にも精彩が欠けていた。彼の目にも僕の目は同じように映っていただろう…。
彼から駅校内に目を向けると、今はたぶん出勤の時間だろうなと思えるように人が多くなり始めた。
僕はその時間帯に、駅の喧騒がばれないようにトイレに向かい、会社に連絡した。
今日は体調が悪いので休むと伝えた。
「お前、コロナ感染じゃないのか」と言われたが、「味覚も嗅覚も正常です、ただ体がだるくて熱っぽいので今日一日休んでもいいですか」、と告げた。その後、特に何も言われず、「分かった」と言われ、事なきを得た。僕が居なくても世界は回る。宇宙空間にある重力の影響下は、仕事とはまったく関係なかった。
そして、僕は駅の端っこにある人気のないようなベンチを選び、そこに座った。スマホのディスプレイをスリープから起こし「ブルーラグーン~恋の目覚め~」を見ることにした。ベンチの隣の席にはさっきと違う人が一心不乱に競馬新聞を眺めていた。
やっぱり水、そして食料どうなの。愛だけでは無人で愛ランドにはむずいのでは…。
そんな気持ちが「ブルーラグーン~恋の目覚め~」を見つつ、常にあった。
少なくとも、無人島で、サバイバルはかなり大変だ。人間は水なしでは8日間を超えて生きられない。
僕はすでにYoutubeのTHE NAKED 男女全裸サバイバル by ディスカバリーチャンネルでそのことを学んでいたからだった。これは一つの無人島の、誰もいない世界の二人だけの愛ある理想の形を描いてるに過ぎない。
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