題名:ギリシア・クレタ島における素焼き鉢の製法
報告者:エゲンスキー
ギリシアのクレタ島は、ギリシャ共和国南方の地中海に浮かぶ同国最大の島で、古代ミノア文明が栄えた土地でもある。そのため、クノッソス宮殿をはじめとする多くの歴史ある遺跡が現存する1)。村上春樹による小説「ねじまき鳥クロニクル」に登場する人物として加納クレタと加納マルタがいるが、そのクレタとマルタの名はこの地中海に浮かぶクレタ島とマルタ島がヒントとなっている。そのため、これらの島の名にもなじみがある人も多いであろう。当方もその一人である。
歴史がある島のため、あらゆるものにも歴史がある。その中でも、特に注目したいのは素焼きの鉢である。一般的に、ホームセンターなどで販売されている素焼きの鉢は機械により製造されたものがほとんどであり、形状は整っているが、趣がない。しかしながら、ギリシアのクレタ島で製造されている素焼き鉢はいまだに職人による手作りである。その大手はManolis Moutsakis社になるであろうか2)。図に製造過程の様子を示す。この図をみても分かるかと思うが、製造している人に比べて相当大きな鉢を作っていることが類推される。むろんManolis Moutsakis社では大きな鉢だけでなはく、小さめのサイズの鉢も製造している。しかしながら、小さめの鉢から、大きな鉢まですべての鉢が職人の手作りによることが、Manolis Moutsakis社の特色でもある。その中でも最も大きなものは、BALA 140×115 cm、BOGIATZOPITHARO 160×60 cm、CORONIOS 140×115 cmになろう。なお、BALA、BOGIATZOPITHARO、CORONIOSは聞き慣れない語でもあるが、これらはすべて鉢の名である。
図 クレタ島における素焼き鉢の製造過程3)
この名から、ギリシアの特有の語の響きが感じられつつも、その響きにはそこはかとないクレタ島の歴史を感じる。このように、ギリシア・クレタ島で製造される鉢には、各鉢に固有の名があり、ホームセンターなどで売られている名もなき鉢とは根本的に異なる。鉢の名や形状には、ギリシア・クレタ島の歴史を重んじるManolis Moutsakis社の伝統と自信が息づいている。
いわゆる個人の固定観念的なイメージとして壺らしい形状を探ると、AMFOREASにそのイメージを求めることができる。ただし、最終的な壺に関する個人のイメージには、各個人の趣向が異なる。そのため、AMFOREAS以外にも鉢としての価値を感じる人も多いであろう。なお、そのAMFOREASにはManolis Moutsakis社のプロダクトを見ると3種のサイズがあり、最も大きいものは100×65 cmとなっている4)。その他、CONIKOも面白い形状をしており、かつてワインの貯蔵として用いられていた様子も伺われる。
1) https://ja.wikipedia.org/wiki/クレタ島 (閲覧2015.11.28)
2) http://www.potterycraft.gr/ (閲覧2015.11.28)
3) http://www.potterycraft.gr/creativity (閲覧2015.11.28)
4) http://www.potterycraft.gr/our-products (閲覧2015.11.28)
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