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コンピューターにおける特異な進化


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題名:コンピューターにおける特異な進化
報告者:ダレナン

 現在のIT技術において人工知能は欠かせない。その人工知能に関して、2025年あたりを目途に大きく変換し、Technological Singurality(技術的特異点)を迎える。すなわち、人工知能を有するコンピューターの能力が、ヒトの脳の能力を越える点である。その内容に関しての詳細はこの記事を参照して頂きたいが、今はTechnological Singuralityまでは行かなくとも、少なくとも現代段階の人工知能の能力は、すでにネット上にある画像が「何か」であることを識別できるようになるまで発展した。東京大学の松尾によれば、今から来るべき世界において、「そもそも、人間の脳も電気信号と化学変化によって動いている。原理的に言って、コンピューターで再現できないわけがない」1)と言う。その通りで、間違いなく時代はその方向に進んでいる。
 ミクロ的に見ると、脳のニューロンはall or nothingの法則に従い、あるしきい値を境にON or OFFの区別をしている。それを図に示す。インパルスがしきい値を越えるとニューロンが興奮(ON)したこととなり、それが次々と各ニューロンに伝わることで、信号となる。また、このニューロン情報の表現を最初にモデル化したのは、イギリスのアラン・ホジキン博士とアンドリュー・ハクスレー博士であり、1963年のことになる。このモデル化を、ホジキン・ハクスレー型モデルと言い、彼らはイカの巨大神経からこれを導き出した。両博士はこの研究によって、ノーベル医学・生理学賞を授与されている。

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図 ニューロンのインパルス2)

 このニューロンのON or OFFの仕組みは、家庭にある電気のON or OFFとなんら違いはない。コンピューター内でもマイクロチップで行われている処理は、ON or OFFの組み合わせだけであり、その総体として、計算する、記憶する、実行する、の一連のプログラム命令が働いているだけである。換言すれば、この集積の規模や処理の速度の違いが、コンピューターとヒトの脳を明確に分けている理由の一つでもある。しかしながら、コンピューターも大規模になり、速度も速くなれば、ヒトの脳の処理能力を追従できる。現在の技術でそれを明確に示したのは、IBMによるスーパーコンピューター「ディープブルー」によるチェスの対戦であろう。1997年5月に当時チェスの世界王者だったゲイリー・カスパロフ氏と「ディープブルー」が対戦して、最終的にコンピューターが勝った3)。この時点で、ヒトの脳の処理のある側面、ここではチェスの一手の推論が、コンピューターの方に勝機があったことになる。しかしながら、その勝機の背景には、「ディープブルー」の設計に携わったエンジニアによると、予期しなかった洗練された動きは、実はプログラミングのバグのせいで生じたらしい。すなわち、バグというプログラマーのある種の過ち的な要素が、コンピューターを特異な方向へと進化させたとも言える。さしずめ、人間では突然変異にあたろうか。

1) http://www.todaishimbun.org/yutakamatsuo20141004/ (閲覧2015.12.25)
2) 上坂吉則: ニューロコンピューティングの数学的基礎. 近代科学社. 1993.
3) http://wired.jp/2012/10/03/deep-blue-computer-bug/

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