地底たる謎の研究室

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H.R. Gigerの世界観に触れる



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:H.R. Gigerの世界観に触れる
報告者:アダム&ナッシュ

 ある程度にSF映画やプログレッシブ・ロックに詳しい人であれば、知っている人が多いであろうH.R. Giger(Hans Rudolf Giger:エッチ・アール・ギーガー)氏であるため、ここで取り上げるまでもないかもしれない。もはや古典ともなるリドリー・スコット監督の手による1979年のSF映画「エイリアン」の美術デザインを創造した人が、H.R. Giger氏である。作例を示すと、図になる。映画「エイリアン」でも、この図の有機体ともされるH.R. Giger氏の創造物が出てくる。それは、映画「エイリアン」の象徴的な場面でもある。これを見て分かるように、Giger氏の世界観は唯一無二のものであり、例え映画「エイリアン」が作成されなくとも、氏はいずれ今と同じように有名になったことは間違いない。また、映画に先立ち、プログレッシブ・ロックの雄の一バンドであったEmerson Lake & Palmerによる1972年のアルバム「恐怖の頭脳改革」のジャケットを描いた人物としても有名である。ただし、その他の作例(例えば、文献1)やドキュメンタリー映画「HRギーガーの世界」なども参照)も見て分かるように、Giger氏の世界観は万人受けしないシュールさにあふれている。



図 H.R. Giger氏の作例1)

それは、シュルレアリスムを思わせるような幻想的で怪異な作風が特徴であったルネサンス期のネーデルラント(フランドル)の画家Hieronymus Bosch(ヒエロニムス・ボス)1)と同系列に並ぶ。言い換えると、両者ともに在命の年代は異なるものの、Giger氏はBoschに追従すべく絵画世界に重要な歴史を刻んだ人になったともいえるかもしれない。しかし、残念ながら、Giger氏は2014年5月12日に74歳にてこの世を去った3)。
 一般的に、このようなシュールな作例を基調とする人物には、何かしらの特別な要素を心理的・精神的に抱えていることが多い。もしも、仮に有名になるとかの事象がなければ、ある意味、世間的にははみだした人、アウトサイダーとして認知されやすい。場合によっては、社会的な通例から、精神病院などにも収容されることもあるかもしれない。
 心理学的に、社会的に実現不可能な目標・葛藤や満たす事が出来ない欲求から、別のより高度で社会に認められる目標に目を向け、その実現によって自己実現を図ろうとすることを昇華という4)。Giger氏は、まさに自身の中のダークな部分を、芸術という方法にて社会的に昇華できた。そのため、Giger氏のもつ心理的・精神的な特別な要素は、芸術として決してダークではなく、燦然と輝いているのも事実である。






1) https://imgur.com/gallery/EYiSt (閲覧2018.3.4)
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒエロニムス・ボス (閲覧2018.3.4)
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/H・R・ギーガー (閲覧2018.3.4)
4) https://ja.wikipedia.org/wiki/昇華_(心理学) (閲覧2018.3.4)

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