地底たる謎の研究室

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火星タコの養殖の研究



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:火星タコの養殖の研究
報告者:トシ

 本記事は、この記事の続きです。

 先の記事にて世界の食文化の様相を巡るとともに、火星における洋食の第一号となる火星タコの養殖についても触れられていた。そこで、ここでは、火星タコなるものが火星にて養殖が可能となるかについて、独自に研究したい。
 なぜ火星でタコであるのかと言えば、それは藤子・F・不二雄博士(実際のところ、藤子・F・不二雄氏はPh.Dではないが、ここでは博士と称したい。なぜなら、筆者にとって藤子・F・不二雄氏は、博士以上の存在感だからである)による。博士が考案した火星タコの初出稿は、博士の漫画「21エモン」である(たぶん)。「21エモン」では”火星への遠足”の話で火星人が登場するが(図)、この火星人は、地球のタコを火星に合わせて繁殖させたタコで、火星の観光用に、と開発された。すなわち、地球産の火星育ちのタコであり、いわば、火星でのタコの養殖のきっかけを、博士はここで提示している。図は野生化した種類であり、凶暴性を併せ持つ特徴を有しているが、これを観光用のタコではなく、養殖として、将来の火星の洋食用として育てることも可能ではないか、とここで推測できる。



図 藤子・F・不二雄博士による火星タコ1)

 一般的なタコの養殖は、近頃に日本水産によって技術的に可能となった。文献2)にもあるように、タコ類は身近な水産物であるも、養殖の技術は今まで確立されていなかった。さらに、マダコの場合は、それを養殖する際に、浮遊幼生が着底できずに死滅してしまうことが多く、海外では、完全養殖の成功例が2004年に一例のみ報告されているが、再現することが困難であった2)。しかしながら、ニッスイ中央研究所大分海洋研究センターの研究によって、①親ダコから安定的に採卵する技術、②孵化幼生を飼育する環境の適正化、③稚ダコの飼育に適性のある餌料の開発を行い、その結果、2015年、少数ながらも稚ダコの人工種苗の生産に成功した2)。このことから、マダコに関しては完全養殖に成功したといえよう。それでは、この養殖技術を火星に持ち込み、火星タコによる火星の洋食(火星タコのカルパッチョなど)を実現するには、どのような方法が必要となるのであろうか。
 まず、第一に、海水が必要である。そのため、火星に海洋水産施設を建設しなければならない。また、日々の水温や塩分濃度も地球環境に合わせてきちっと管理せねばなるまい。第二に、親ダコを火星に持ち込まないといけない。これについては宇宙船で持ち込めばよいが、地球との重力差が親ダコにどのように影響するのかをまず確認しないといけないであろう。第三に、孵化幼生を飼育するであるが、これも重力差が幼生に与える影響について検討しなければならない。場合によっては、妙なタコとなり、先の凶暴性はなくとも、食べるに値しない食感が生じることがあってはなるまい。
火星タコの養殖から、火星の洋食(火星タコのカルパッチョなど)を食するにはまだまだ遠い道のりである。



1) https://plaza.rakuten.co.jp/neoreeves/diary/201008250000/ (閲覧2018.3.15)
2) http://www.nissui.co.jp/news/20170608.html (閲覧2018.3.15)

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