地底たる謎の研究室

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記憶に残る広告作りのコツ


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題名:記憶に残る広告作りのコツ
報告者:ナンカイン

 新聞やCM、あるいは、インターネット上の広告をはじめとして、今では一日たりとも広告を目にしない日常はない。日々、膨大に流れる広告は、消費社会の一旦を担う。しかしながら、そのような多くの広告の中でも、印象に残る広告はそれほど多くない。それは、人が記憶できる情報量が限られているからである。
 人の脳全体では約1ペタバイト(1024テラバイト)の情報の記憶が可能とも言われている1)。その目安として、書類を収納した4段式キャビネットの2000万個分の文字情報、あるいは、HD品質の映像なら13.3年分のデータ量とされる1)。しかしながら、それは脳を情報収集器に見たてた場合の総記憶データ量であり、膨大に流れる情報を処理しながら記憶する場合とは異なる。流れる情報を処理しながら覚えるには、記憶させるための段階が必要となる。そのため、単純な数字の記憶ですらも、実際は7桁以上の記憶が難しいとされ、マジカルナンバー72)なる法則もよく指摘される脳の記憶レベルである。
 この脳の記憶レベルを捉えつつも、それでも、印象に残っているという印象深い広告は、消費者側の記憶に残すコツをつかんでいる広告であることは、間違いない。そのような記憶は意外と深く刻まれ、年をとっても昔のCMをよく覚えているなどの現象は、その広告の作り方になんらかのコツがあったことが類推される。
 広告の記憶は、広告記憶とも呼ばれ、現在も様々な研究がなされている3)。しかしながら、文献3)にも記述されているように、広告自体が多岐にわたる分野の学際的な内容を示し、かつ、マーケティングを中心として様々な要素を取り込んだ乱雑感もあって一概に広告記憶を研究することは難しく、広告効果の実証研究を行うにも多大な時間と労力が必要とされる。ただし、情報処理の観点から見ると(文献4))、記憶に残る広告(新聞の)には3つの特性がある。それが、①目に入った直後の目記憶から、②目記憶に残ったものを短期情報貯蔵庫(短期記憶)に送り込まれ、③長期情報貯蔵庫(長期記憶)に蓄えられる、の流れである。これを熟知し、それに応じた仮説に基づいて、①→②→③の順に、自動的にスムーズに記憶されるように広告を制作すると、その広告は記憶に残る広告となる。なお、これらの記憶を秒数で換算すると、目記憶:1秒間、短期記憶:20秒間、長期記憶:永久、となる。さらに、図のバウハウス(この記事も参照)による広告記憶の実験(広告を1秒見せて消した後、20秒間は別課題として暗算を行い、その後に広告の覚えている部分を答える)では、人間の顔写真:60.0%、文字:26.3%、赤い帯線:8.1%、数字2.5%、白地の部分:1.9%、その他:1.3%の結果となった。先のマジカルナンバー7とも関連がありそうだが、認知心理学では記憶させたいことを7個程度のかたまり(チャンク)にすることがカギとされている4)。本実験の結果も、顔写真に加えて文字の二チャンクが広告



図 バウハウスの広告5)

として重要であったことが指摘されている4)。

1) https://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201601_post_8711.html (閲覧2018.7.19)
2) http://spiritual-success.com/post-10608 (閲覧2018.7.19)
3) 越川靖子: 欧米における広告記憶研究の系譜 –研究の展開と学際研究の整理-.湘北紀要 33: 125-146, 2012.
4) 山田理英: 二秒で伝える広告設計のコツ. 海保博之(編): 瞬間情報処理の心理学. 福村出版. 2000.
5) https://aboutartanddesign.wordpress.com/2012/05/15/bauhaus-art-is-life/ (閲覧2018.7.19)

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