題名:恋のときめきを、無視できるのか?
報告者:ダレナン
フランスの名女優で、恋の多き女優ともして知られているジャンヌ・モローさんは、自己の言葉にこう言い残している。
「とにかく、恋のときめきがなかったら、ただ生きている昆虫と変わらないわ」1)
ただし、ジャンヌ・モローさんは89歳の生涯を終えて、昨年の7月31日(元の記事は2018年11月15日に投稿)に残念ながら他界した。ここで、改めてご冥福をお祈りしたい。
ジャンヌ・モローさんが言うように、恋のときめきは、生活において重要である。そのときめきに関して、心理現象を研究から、ときめきは恋愛感情と親和性が高く、約90%の女性がときめきを経験しており、ときめきとの身体変化・感情変化から、ときめきは心臓の活動促進が自覚された感情の一種であることが報告されている1)。また、多くのときめきは、高揚感の高いポジティブな感情として捉えられていることも明らかとなっている1)。さらに、ときめき時の表情は口角・ほほが情報に引き上げられ、目が細くなるといった形態的変化で持って、魅力的になることも報告されている2)。ジャンヌ・モローさんがいつまでも若く、常に魅力的であったのは、ひとえにときめきのおかげともいえるのであろう。なお、ときめきに関する脳内の変化等も踏まえて、拙者によるこの記事以後で、何度か報告したのでそちらも参照していただければと願う。
ここで、もう一度、ジャンヌ・モローさんの言葉を振り返ると、ただ生きている昆虫と変わらない、との言葉も付与されている。そこで、疑問となるのが、
「虫は、恋のときめきを、無視できるのか?」
という点である。考えてみると、交尾中にメスに食べられるオスのカマキリは、もし仮に、ときめいた上での行動であれば、死を覚悟したときめきでもある(図)。人もときめいた後に、何らかの経過を踏まえ、男女関係となることもしばしば観察されるが、そこで男性(オス)は女性(メス)に対して死ぬぐらいの覚悟をしてときめいているのであろうか。昆虫の恋のときめきは、やはり人と違う機構なのであろうか?
文献3)によると、昆虫においては、メスの方が交尾相手を非常に注意深く選ぶとされ、そこにはオスの自己犠牲があることが分かる3)。ただし、昆虫の恋のときめきに関する知見は得られない。その他、昆虫にときめく人(昆虫愛好家)がいることは確認できるが4)、ここでも昆虫側の恋のときめきに関する報告はない。当たり前と言えば、当たり前であるが、昆虫の恋のときめきの謎は、無視できないくらいに、筆者がときめいている。そう、昆虫の恋のときめきに関する研究は、ここから始まるのである。
図 カマキリの交尾5)
1) 長崎芙美, 他: 「ときめき」という心理現象の実態把握. 日本心理学会大会発表論文集: 535, 2009.
2) 河島三幸, 他: ときめきによる女性の表情と魅力の変化. 日本顔学会誌 11: 107-115, 2011.
3) http://www.nikkei-science.com/page/magazine/9711/insect.html (閲覧2018.11.15)
4) https://slidemove1.com/post-1679-1679 (閲覧2018.11.15)
5) https://riehnd.exblog.jp/9943277/ (閲覧2018.11.15)
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