題名:くらくらしつつ
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
目上榎井。それが彼女の名前だった。僕は愛Cloudでシェアされたその名の漢字が浮かび上がっているディスプレイをじっと見つめていた。その時、目上榎井さんは僕のところに花と鼻をくんくんさせて近づいてきた。そして、「りどる様からおききしております。あなた様が、キザワ・ミチオ様ですね。お待ちしておりました」と、僕に一枚の名刺を渡してくれた。その名刺には、
と書かれてあった。すなわち、メガミ・エナイさんはこの店のオーナーというわけだ。
りどる:「えないちゃん。ぼくに、いつものあれくれるかにゃん」
メガミ・エナイ:「はい。かしこまりました」
そして、エナイさんは店の奥からビンを出してきた。ビンのラベルには、”またたびシュ”と書かれてあった。エナイさんはそれをコップに注ぎ、りどるに差し出した。りどるは、ぺろぺろなめていた飴ちゃんをいったん皿の上に置き、”またたびシュ”をぐびびっっと飲んだ。
「これ、うまいんだにゃん。さっ、ちみもいっぱいどうにゃん?」
りどるは僕にその”またたびシュ”を進めてきた。僕もそれを一口飲むと、とても苦い味とともに、くらっとして目が回った。何だろうこれは、と思いつつ、二口目は勢いよく飲めなかった。目が回ったまま、次第に頭もくらくらしてきた。その時、
「ミチオ様、お寿司でもいかがですか?」
とエナイさんはお寿司を進めてきた。くらくらしつつも、くらくらしつつも、お寿司をつまんで食べた。その味は、無添加であることがすぐに分かった。りどるも、ネタをぺろぺろとなめつつ、口にネタを運んでいた。
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