題名:地中海式ダイエットにおける医学的な見地
報告者:エゲンスキー
ダイエットとは、日本では一般的に痩せるための意味合いが強いが、語源には食生活との意味もあり、例えば、進化的な属性としてチンパンジーの食べ方を研究した文献1)では、ダイエット(Diet)を痩せると訳すると妙訳となり、ここはやはり食生活と訳す方が正しいこととなる。それと同じように表題の地中海式ダイエットのダイエットは、痩せるとしてのニュアンスもあるが、食生活によって適正な身体バランスを維持するとのニュアンスが強く、地中海沿岸での食生活を取り入れて、身体バランスを適切に維持しよう、が、真の意味に近くなる。
医師であり、積極的に地中海式ダイエットを生活に取り入れる提案をしている佐々木巌医学博士によれば、ダイエットは古代ギリシア語で生活方法、生活様式を意味するとしており、ここにダイエットの原義が認められる2)。また、博士3), 4)によれば、地中海沿岸のイタリアのサレルノにおいて、7世紀半ば頃に西洋最古の医学校であるサレルノ医学校が創設され、11世紀末に「サレルノ養生訓」という衛生学の読本が作られたが、その当時からの現代までも続く医学的な見地として、
①まずゆっくりくつろぐこと
②次にくよくよしないこと
③最後によい食事をとること
がその読本の結びにも示されている。この3つの生活習慣は、医者要らずの習慣として、ストレスを緩和する上でも最も大事なことになる2-4)。この中でも①、②は生活面、精神面にあたるが、③は食事面にあたり、これの実践が地中海式ダイエットとなる。その方法は図に示すように、1:季節の野菜と果物、また穀物など植物性食品を豊富に摂る、2:主たる脂肪源として、オリーヴオイルを日常的に使う、低脂肪の乳製品(チーズ、ヨーグルトなど)は、毎日適量摂取する、3:魚介類を習慣的に摂取する、4:獣肉の摂取は少量にとどめる、5:食事中に適量のワインを飲む、6:日々の運動を欠かさない、となる2-4)。
図 地中海式・食のピラミッド5)
近年は、若年でも生活習慣病が増え、その予備軍も多い。生活習慣病は医療費の約1/3を占め、死因別死亡割合の61%も占めている6)。そのため、「サレルノ養生訓」の考えは、ますます重要になるに違いない。
1) https://blogs.scientificamerican.com/guest-blog/how-to-eat-like-a-chimpanzee/ (閲覧2017.8.9)
2) http://wellness-sasaki.jp/med.diet/about/top.html (閲覧2017.8.9)
3) 佐々木巌: サレルノ養生訓 地中海式ダイエットの法則. 柴田書店. 2001.
4) https://www.nttdata-getronics.co.jp/csr/spazio/spazio64/sasaki.htm (閲覧2017.8.9)
5) http://foodport.jp/feature/12197.html (閲覧2017.8.9)
6) http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/dl/s0412-4f_02.pdf (閲覧2017.8.9)
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