題名:宿命の蓋つきと一通の手紙
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
おやっさんに料理の何たるかを教えてもらい、タンちゃんからは料理の技術を学び、僕は料理人としてあるべき姿を模索し始めた。その日々、毎日が楽しくて仕方がない。そうして、ひと月、ふた月と月日は過ぎ、まるであと何か月後にNakajo家の執事となることも忘れ、こころにその宿命の蓋つきをした。宿命は、覆いかぶさったのだ。
さて、今日も一日、精進するか、と思い、朝起きるとポストに一通の手紙が入っていた。叔母さんからだった。そういえば、叔母さんに手紙を送ったんだっけ(この物語)、その返事かもしれない。開封した。
Dear Eiigoちゃん,
Eiigoちゃんからのお手紙を読みました。確かに我がGaeele家には秘密があります。ただし、ここではそれを言うべきではないと思っています。正式にEiigoちゃんが執事になってから、やがて分かることでしょう。
Eiigoちゃんには内緒にしていましたが、叔母は、むかしから、ジャパネットの金利には興味があります。Eiigoちゃんに日本語を教えたかったのもそこからです。ここイギリスからでも、叔母は、ジャパネットなニュースを毎日、チェックしています。Eiigoちゃんの周辺・近辺で起こっている女性の首筋を噛まれた殺害のことも、チェックしていました。ただ、このところ、その事件が起こっていないようで、叔母はほっとしています。
ラーメン屋さんの修行はどうですか。ニンニク入りの餃子とかも作っていますか。たぶん、そうだとしたら、その事件が起こってない理由は、その餃子のおかげかもしれませんね。今は、そうとだけ伝えておきます。
ところで、あと数か月でイギリスに帰って、Eiigoちゃんには正式にNakajo家の執事としての命を任したいところですが、そのラーメン屋さんのおやっさんの嫁のくだりは、叔母も気になりました。そこで、Nakajo家にもその旨を伝えたうえで、おやっさんの下で、ラーメン屋さんで、少し修行してから、執事の命を任してもらうよう、叔母からNakajo家に嘆願しました。そのため、今は、Eiigoちゃんの気が済むまで、ラーメン屋さんで修行しても構いませんよ。
それと、今、Eiigoちゃんのそばには女性がいるかと思います。その女性はきっと我がGaeele家の血筋を穏やかにする能力があると思います。彼女のことを大切にしてあげてください。
それでは、いつかイギリスに帰国することを、叔母は首を長くして待っています。
愛するEiigoちゃんへ
叔母より
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