題名:CPUのSnapdragonからは、
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
「ちみは、このさいしょのがぞうをみて、どうおもったにゃん」
「とても綺麗な人ですね。どきっとしました」
「にゃんるほど…」
彼あるいは彼女である子ネコの通称にゃまえは、りどるは、腕組みをして考え込んでいた。
「きれいなひと…だにゃんて、うそだにゃん…。どうみても…、にゃんだな…」
僕には子ネコのりどるのセリフが何を意味しているのか分からなかった。「でも、どう見ても綺麗な人じゃないか」、ちょっと僕は半ば起こり加減に、りどるにそのことを伝えた。
「にゃんるほど…。ちょっとほれたにゃん。かのじょにほれただにゃん、ちみは…」
その言葉に若干恥ずかしくなって頬が上気するのを感じた。
「じゃぁ、こっちのがぞうをみて、どうおもったにゃん」
りどるは、二枚目の画像を指さした。
「ただのホワイトからグレーへと変わる画像のように見えますが…」
「そうだにゃん。あたりだにゃん。じつは、これ、かのじょだにゃん。こっちには、ほれないでしょ?」
当たり前だった。そんなホワイトとグレーにほれるのは、普通ではない。(えっ、彼女…???)
「これ、かのじょのみみかざりのぶぶんだにゃん。よーっく、かくだいしてみてにゃん。
これが、ほんしょうだにゃん。だから、きれいもなにも、これ、ただのぴくせるのがぞうだにゃん。
つまりは…、
ちみのみているのは、
かのじょじゃなくて、
ただのぴくせるだなにゃん」
「Pixel」
「そうだにゃん、ぴくせるだにゃん。こっちもみてにゃん」
別の画像(ず)を指さした。
「これ、ちみだにゃん…」
そこには四角で区切られた、明らかに上気している顔の画像が見えた。でも、それは明らかにPixelだった。
「ただのPixel…」
遠くに目をやると、そこにはスマホ内部のアンテナモジュールとバッテリーが見えた。耳を澄ますと、メインボードのコンデンサーからさわさわという音が聞こえ、抵抗からはぶーんという音が聞こえていた。CPUのSnapdragonからは、かちかちという音が聞こえていた。
ず ぴくせる1)
1) https://www.pinterest.jp/pin/761600986958601149/ (閲覧2021.3.4)
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