題名:結局は自分が満足しても、誰かれも読む人が満足できなければ、その物語に存在的な意味が生まれないのだ。
報告者:ダレナン
本物語は、この物語の続きです。
翌日、北医師から妻との面談の日程について教えられた。僕はその日で結構ですと答えつつ、「全裸サバイバル」におけるパートナーとの関係の重要性について、北医師に伝えた。北医師も「そのとおりですよね。でも八度まもるさんの場合は、美幸さんと良好な関係を築いているかのように私は思えます。いかがでしょうか」と問う。それに関して、長い間入院していた僕は、なんとも返答ができなかった。確かによいように思える。でも、長い年月は、2-3年近くの年月は、美幸の心の持ちようも変化しても仕方がない。そう思ってはいる。
そうして、同時に、僕に残された年月はあまりないかもしれない、ということにも築かされた。カウントすると、ちょうどこの物語で50話となり、幾分、これでいい区切りとなるとも思い始めていた。
かつては100がいい区切りと努力してきた。
が、ときには、というか、才能なき僕がどんなに努力しても100以上の才能は生まれない。100執筆しても同じことの繰り返しで、いささか皆々様は、またかこのてんかい、とおもっているだろう。そもそも読まれてはいなんじゃないだろうか。
結局は自分が満足しても、誰かれも読む人が満足できなければ、その物語に存在的な意味が生まれないのだ。
それが分かった。
「誰も興味がない場合は、自分が楽しくても、その執筆された物語には何も期待できないでしょうね」
北医師もそのようなことを述べていたように思えた。そして、
「誰もが面白いと思える文体は、なかなか生まれないものです。最終的には才能でしょうか…。そうだとしたら、その書き手が、才能なき書き手が描いた物語自体に、存在意義がなくなります。ここはまさにその墓場…でしょうか。私には、いいわるいの判断できませんが、ここの記述について八度さんはどう思われますか?」
と、問われた。僕は正直に
「いまいちだと思います」
と答えた。
いつもそうだ。いい物語を生み出そうと躍起になっても、それが継続できず、結局は自分のどうでもいいごたくを並べ、そして満足する。それは、この物語の明らかな終焉を示唆していた。
「そうですか…。そうなのですね…」 北医師は寂しそうに僕の意見に賛同していた。
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