地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

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暗闇の向こうから

題名:暗闇の向こうから報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 朝になり僕は目が覚めた。しーんと静まり返った朝だった。いつもなら、カチャカチャと朝食の準備をする音やゴトンゴトンと洗濯機の回る音がする。でも、今日はやけに静かだった。キッチンに行くと、そこに妻はいなかった。そっと、妻の部屋を覗いた。まだ、布団の中だった。「どうしたの、体調悪いの?」「少しだけ…」「風邪?」「そうじゃないけど、疲れているみたい。今日、会社休む」「分かった。代わりになんか朝食作ろうか?」「ほっ…

ニワトリ並みの鳥肌

題名:ニワトリ並みの鳥肌報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 クミちゃんとの食事会という名の仕事が終わり帰途に就くと、妻が家の中で、真っ暗な中でぼーっとしていた。一向に動こうとしない。「暗いよ」と電気をつけた。食卓には僕の食事も準備されていた。「どうせ、”もう”食べて来たんでしょ」と妻が言った。「仕事だから、仕方がない」。「仕事だから…、ふん、そうなの」。それ以上、妻は何も言わなかった。 とりあえず僕は週末の仕事のことを妻に話した。「来週の週末、会社のGo To …

一向に動かない牛

…、楽しい仕事…だね」 その言葉にクミちゃんは、うんうんと、頷いていた。 そして、ハイネケンによって二人の恋を加速するかの如く、酔いが増していた。店内にはBrian CulbertsonのTogether Tonightが流れている。僕たちは手を握り、お互いに見つめ合った。そして、そのままごく自然に唇を重ね合わせた。唇はほのかににんにくの香りがしている。それは恋している二人の、香りでもあった。From ここから。© 2015 This is 地底たる謎の研究室 version。

同調する

題名:同調する報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 何かが不安定で崩れている。それが何かは分からなかった。でも、崩れている。決して、文字自体が下手なわけじゃない。むしろ僕よりも数段と上手だ。でも、文字にあるそれは、何か、何かが、僕は、彼女を不安にさせているのだろうか…。ふとそう思えた。 確かに、僕は食事会、食事会という名の仕事としてクミちゃんと食事している。(あたりまえでしょ。彼女もあなたのことを好きになりかけているの。それが、分からないの…)妻の声が聞こえた。(…

何かが不安定で崩れている。

題名:何かが不安定で崩れている。報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 地下鉄に乗りながら、ふと妻の顔を詳細に思い出した。電車外では、次々と壁に書かれた広告が変わってゆく。見上げると、電車内の広告も変わっていた。いつまでもそこにはとどまっていない。チェンジする。 流動的だ。広告も、人の心も。昔とは変わった。しわ一本一本が、かつてとは異なっていた。そこには5年の年月が刻まれていた。(じゃぁ、わたしのことどうするの? 別れて、その受付の子と一緒にいたいわけ? この5年は…

僕を理解している。

題名:僕を理解している。報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 (でも、営業のあなたと受付のその子と、仕事で話し合うことなんてあるの? そんなのおかしいじゃない? 結局ダリオくん、好きなんでしょ、その子のこと…) 妻に正直に告白した。困窮する妻の顔が見えた。だから、僕は決して言わなかった。一線は超えてない。彼女は僕を死の淵から救ってくれた人。だから、“あくまでも”そのお礼の延長なんだ。 僕は心の中でそんな言い訳を繰り返していた。妻には後ろめたい気持ちはあった。でも、…

カーボデペニャスあるいは

題名:カーボデペニャスあるいは報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 僕が消えてこの世から去ろうとしたその日が、僕にとってクミちゃんとの初めてデートの夜だった。僕には妻もいる。だから、これをデートといっていいのか…。後で、そう自問自答した。そう思いながらも、その時の僕の心は浮ついていた。 でも、あの時、例えクミちゃんから「はい」と返事がもらえなかったとしても、「OK」が出なかったとしても、僕の還るところはここだと信じていた。そんな僕を見て他の人からは、受付のアイドル…

二人だけの合図

…まったく見えない。can this love be true? その当時、してはならない、という禁忌を意識するあまり、逆にその禁忌の中に自ら踏み込んでいく人間の心理1)が僕には垣間見えた。見えないからこそ怖い。当時、僕に起こったことは誰にも告げてはいない。むろん妻にもだ。クミちゃんもそうだった。でも、告げてはないにせよ妻は気づいていた。きっと彼女のチェンジはそこから始まっていた。隠していても自然と表に出る僕の意識、それは確実に妻にも届いていたのだろう。「最近、楽しそうね。なん…

そこで死んでいたんだ。

…なった。線路からDead Manが手招きをし、川面からはDead Manがこちらをじっと眺めていた。 くそ、うるせーわ。おめえわよー。 と、僕はあの時、心の中で憤慨した。それはとりもなおさず自分の世界を取り戻すための呪文でもあった。でも、本当は、僕の心は相当のダメージを受けている。今日一日、とてつもなく長く、そしてかぎりなくブルーだった。ダメージのヒットポイントがほとんど0に近づいていた。 僕は、この世から消えることを考えてみた。Dead Manは喜んで僕を迎え入れるに違いな…

クミちゃん

…ートマティックなDead Man。ただ時には、その意味も一晩で劇的に変化することもある。取るに足らないわら一本でも重大な結果につながることもある1)。それがストロー・チェンジ。 「一晩で、あなた変わったわね」 妻がチェンジしたのは、その日が境だったのだろうか。いや、僕またはカレーの味のチェンジ。そういえば思い出したことがあった。 クミ。クミちゃん。会社の受付のアイドルとでもいえる存在のクミちゃん。僕はいつも遠巻きに彼女の働きぶりを見ていた。エレベーターから降りて、フロアに向か…

可もなく不可もなく

…いが、ある時境にDead Man。Walkingしたいも、死体はしたいと欲求のみが発情し、死体はエサを求める。そういうことだろうな。どういうことなんだろうか? 自分でもわからなくなってきた。クミンを入れ過ぎたせいだろうか。頭にスマホをコネクトし、更新を試みた。「中世のヨーロッパでは、クミンは男女間の貞操を象徴するものと考えられていました。恋人の心変わりを防ぐものと信じられ、結婚式の際にはポケットの中にクミンを忍ばせて臨む風習があったとか。この風習は、神秘的な芳香を持つクミンを…

ストローな気分

題名:ストローな気分報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 そのまましばらく妻としゃべりながら、「ふぁいねけん、にみふぁい」と伝えた。「だめでしょ、今は」と妻にいわれたが、「しゅとろーで、ちゅちゅうとゆっくりのむひゃら」と伝えた。「しょうがないわね、じゃあ、仕事帰りにかってきてあげる」と妻はいってくれた。 これで、今日一日の入院生活に新たな楽しみが増えた。夜になればハイネケンがちゅうちゅうできる。長い人生でハイネケンのストローな試みは初めてだった。どんな感じだろうか…

針ポッたな魔法使い

題名:針ポッたな魔法使い報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 獣が銃を放つなら、彼は、銃を放たなかった彼、くっくどぅーどるどぅは、獣ではなかったのだろうか。そこに僕に対する彼なりの配慮があったのだろうか…? 何も分からないまま僕はぼんやりと眠りに近い瞼で混沌としていた。 気がつけば、口元から何だかまた血の味がした。再び出血をしているみたいだ。でも、その量は微かで、ほっておけばこのまま何とか一夜はすごせるかもしれない。変にナースコールを押すことは控えよう。新人の彼女…

何かが欠けている

題名:何かが欠けている報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 その行為が地球の飢餓を救え。となったのかは分からない。分からないというより地球よりも自分の飢餓を救った。そういうことになる。「それで、わたしには作ってくれないの? チキンラーメン。お腹空いてるけど…」「でも、もう袋がないんだ。すでに残っていた1袋の賞味期限が切れていたから、それを僕が食べたんだ」「ふ~ん。そうなんだ」 自分勝手な行為に、妻は少し不満そうだった。そして、ギューッと腕をつかまれた。思いっきり握…

地球の飢餓を救え。

題名:地球の飢餓を救え。報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 僕の方を振り向いた女性の顔に太陽の光がまぶしく差し込んだ。見えた顔にはモザイクもかかっていた。 声は認識できた。鼻歌を歌っていたから、声はする。鼻歌でも分かるとても透明感のある透き通った声だった…「あっ、ダリオくん」。その彼女は、僕の変な名前も知っていた。でも、顔にはモザイク。誰だろうか。どことなく妻の声にも似ている。彼女は妻だろうか。モザイク越しでも、何だか違うような気もする。次第に彼女の鼻歌はモウ、…

くっくどぅーどるどぅ

題名:くっくどぅーどるどぅ報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 二人の間に一瞬の沈黙があった。にらみ合い、そして、自転車の彼はペダルに足をかけ、足早にその場を去ろうとしていた。僕にはその動きがとてつもないスローモーションに見えた。さっと、ペダルに足をかけ、彼の動きを邪魔した。そして問答無用でそのまま彼を蹴飛ばした。 なぜにこうも僕は怒られなければならないのか。妻にも、そして自転車の彼にも。僕はなにも悪いことはしていない。奈落の井戸に意思が放り込まれているだけなんだ…

ニワトリの軍隊

題名:ニワトリの軍隊報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 くっくどぅーどるどぅ。くっくどぅーどるどぅ。その後も、僕の頭の中のニワトリが何度も泣いていた。なぜに、こけこっこーと鳴かないのか分からなかった。でも、泣いていた。何かを求めるようにして泣いていた。その何かは、今は分からなかった。「最近、疲れていたみたいだから、ゆっくり休んでね」 いつもは働けっ、もっと稼いでよねっという妻の、その思いがけないセリフに、僕は苦笑いした。苦笑いすると、頬がたぷっているのが分かった…

問答無用

題名:問答無用報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。「うちの冷蔵庫は蒸発しやすいんだ… そういった瞬間、妻は怒っていた、いや笑っていた。いや、呆れていたように見えた。「そんなはずないじゃん。あなたが食べたんでしょ。正直にいいなさいよ」 僕の目には妻が呆れていたかのように見えていたが、すごい剣幕でどやされた。そうだ、食べ物の恨みは恐ろしいんだ。でも、僕にも理由はあった。 若干、若干、そう若干なりともお腹が空いていたのだ。 キリンに触発され、胃袋がまるで底の見えない深い…

未成熟のラクダ

…ていた。自らのCreate。 あなたはどうなの? 何か生み出せるの、生み出したの? と問われた。 遠巻きに海辺の砂の上で遊んでいる望が、砂の像を作り上げていたのが見えた。象ではなく、僕にはそれはラクダに見えた。未成熟でもちゃんとしたラクダの像。3歳にして彼女はすでにCreatorだった。 空には太陽とともに月も見えている。今日は満月だろうか。 太陽に対して月が天球を一周する時間は、29.530589日。だから、太陽と月の黄経の差が180度のとき、月は満月で望(ぼう)となる1)…

鎖に繋がれた世界

…ウェブ・コンテンツをAnalyzeし、トレンドがどうとかこうとかの。 世の中は、結局、金と力で、Townを仕切るボスがいて、そして、言葉巧み騙しハメる Trapがあり、過去の痛み背負い向かう Jobがある。だから、僕もその日暮らし。そして、汚れていく両手。どうにもならない時間と空間の闇。これが、世の仕組み。それが、この世界で、この道に生まれた運命。Born This Way。 ひたむきに走ってきた、結局はあっちの世界のJob。ここのとこ、これでいいのかと悩む日々が続いている。…

あっちの世界

… 一生忘れることはない。 でも、もういいんだ。今の僕には、思い残すことはない。死刑でいいんだ。 僕にはすっかり何かが失われていた。僕:「ありがとうございます」 こぶちゃんはあっちの世界に行った。僕もやっとあっちの世界に行ける。1) https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/147/083147_hanrei.pdf (閲覧2020.10.24)From ここから。© 2015 This is 地底たる謎の研究室 version。

間違いありません

…:「Kちゃんのそれらの事実について、間違いありませんか」百智被告「間違いありません」注:先の「Kちゃんについて」と同じく、法廷内の記述は筆者の得意としない場面である。ゆえに、前半は次のURLを参考に記述したことをお許し願いたい。参考: https://www.sankei.com/affairs/news/200930/afr2009300018-n1.html (閲覧2020.10.23)From ここから。© 2015 This is 地底たる謎の研究室 version。

Kちゃんについて

…で特定情報を秘匿する決定をしています。あなたも、言及するときは特定情報を出さないよう注意してください」百智被告「はい」注:法廷内の記述は筆者の得意としない場面であるために、全面的に次のURLを参考に記述したことをお許し願いたい。参考: https://www.sankei.com/affairs/news/200930/afr2009300018-n1.html (閲覧2020.10.23)From ここから。© 2015 This is 地底たる謎の研究室 version。

それを受けることができるか?

題名:それを受けることができるか?報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 にやりとしながら、僕の前を徘徊していたそのMoon人は、ある音を境に急に姿勢を正した。そして、奥の方を向いて敬礼をした。奥からは、独特なコツコツ音が聞こえてくる。そして、その音がだんだんと大きくなった。するとそこには別のMoon人、それはツキオだったが、が目の前に現れた。ツキオは牢屋を一瞥し、ツキオ:「どうや、ノブヨシくん。牢屋の生活は…。でもな、悪く思わんでくれ。殺ラクダ罪に問われとるさかい…

それとも…

…日のはうまいでー。Japaneseレストランうまいんやの”特上の”カレーライスやで。ほれ、見てみ」。僕:「ほれ、見てみっていわれても、それスーパーGやん」Moon人:「ほれ、うまそうなカレーライスやろ…どーや」僕:「はい。カレーライスです」 見ると、アルミ皿の上にはほかほかと湯気の上がるご飯の上に、これまたほかほかとカレーが大盛りにかけられていた。さっき、見たのはスーパーG。だが、今は、カレーライスに見える。そう、見えた。誰もが感動する一場面。アルミ皿の上には、ほかほかの大盛…

誰もが感動する一場面。

…rld of Creator。 1流、3流。A級、B級。 B級でいいじゃないか。それでも、こうして僕は進んでいる。歩んでいる。そう、確信できた。 そうだ、あの澄み切った青い空、そして頭上には輝く太陽。その太陽の陽光に反射して、呼応している波のきらびやかさ。きらきらとして輝いている。それこそが、僕が求めていた理想郷。きっと、誰もが感動する一場面。それこそが僕が探し求めていた世界なんだ。その自然が見せてくれた世界を忠実に、自分の気持ちに素直に表現する。それだけでいいんだ。それだけ…

もう一度この世界

題名:もう一度この世界報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 研ぎ澄まされたかのように思える意識とは裏腹に、僕はすべての感受性を失っていた。ぼーっとして、暗闇の中で、忘我して佇んでいた。浮遊していた。こぶちゃんとの夢と希望にあふれたあの記憶も彼方に消失し、僕はこのまま消えてしまってもいい、そう思えた。 僕という存在は、もはや意味をなさない。ここに居て何にも残せてはいない。 僕は、もう。僕には、もう。本当に何もなかった。 本当に何もないんだ。 ただ、無暗に意識だけが混…

意識だけ

題名:意識だけ報告者:ダレナン 本物語は、この物語の続きです。 Moon Townの牢屋に閉じ込められ、閉じ込められた僕の心の中も、次第にあたり一面から闇が潜んでくる。そうして、いつの間にか、真っ暗の中に放り出され、一縷の輝きも見えなくなった。 真っ暗な闇。 目を凝らしても光という光は何も見えず、耳を澄ませても音という音も何も聞こえてない。 上も下も、右も左も、前も後ろも何にもなかった。そこには。 もう、何もない。 もう、何もない。 暗闇の中で宙に浮いている物体のように、僕は…

もう、何もない。

…on Townの牢屋に閉じ込められた。とても暗く光のあまり届かないその部屋の中の隅で、僕の心もその部屋の隅と同じように閉じ込められた。カサコソ。スーパーGが走行している。あの時代の、あの豊かなひらめきは、こぶちゃんがいない今、何も浮かばない。僕の頭の中には、長く、長く、とても長い、それでいて静かに進行するLong VersionのAn Ending (Ascent)が、ずっと鳴り響いていた。From ここから。© 2015 This is 地底たる謎の研究室 version。

永遠に死に続ける

…た。もう僕にはCreateなんてないんだ。想像も創造もまったくないんだ。ツキオ:「殺ラクダ罪や。君は、殺ラクダ罪や」 液体化された香料メランジに浸っていないこぶちゃんは、その体が次第に縮みはじめ、急に老化が進んだ。そして、どろどろと体が溶け始めた。 永遠に生き続ける。でも、これからもう、こぶちゃんは、永遠に死に続ける。 安心して。僕が葬ったから。 死が永遠を分かつその時まで、僕も永遠に死に続ける。 永遠に…。From ここから。© 2015 This is 地底たる謎の研究室…