地底たる謎の研究室

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ネタバレ研究の、…ネタバレ注意



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:ネタバレ研究の、…ネタバレ注意
報告者:ナンカイン

 ネタバレとは、例えば小説や映画などにおいて予め結論や展開などを教えてもらう、あるいは、見聞きしてしまうことで、その小説や映画の隠された部分が明らかとなってしまうことを指す。これは筆者の思うところのネタバレの解釈であるが、正式にネタバレの意味を知るために、Weblio辞書でそれを調べると、「作品(小説、劇、映画、漫画、ゲームなど)の内容のうちの、物語上の仕掛けや結末といった重要な部分を暴露してしまうこと。またはその情報のこと」1)となる。この時点でもし仮に、筆者とWeblio辞書の意味が大幅に乖離していたならば、筆者のアホがバレてしまう(アホバレ)ところであった、が、おおむねあっていた。そのため、ネタバレで、アホバレというレッテルは、どうやら貼られずに済みそうである。
 一方、英語圏でネタバレは、spoiling a storyのようなspoilという単語が用いられる。spoilの意味は”台無しになる”であるが、「Don't spoil the movie for others. : 映画のネタバレをして、他の(人)の楽しみを奪わないでください。」3)のような例文で使われる。そのため、小説の解説や映画のレビューなどをして、他の(人)の楽しみを奪わない目的として、その記事のタイトルには「…ネタバレ注意」のように但し書きがよく利用される。そこで、本記事でも…ネタバレ注意と記述した。ただし、内容は小説や映画ではなく、ネタバレ研究のネタバレである。そのため、バレても構わないであろう。注意する必要はないが、ネタバレ研究について知りたくない読者の方は、これ以上は読まない方がよいかもしれない。ネタバレするからである。
 ネタバレの研究については、カリフォルニア州立大学の心理学者であるJonathan D. Leavitt博士とNicholas J. S. Christenfeld博士によって明らかにされた4)。論文のタイトルは「Story Spoilers Don’t Spoil Stories」4)であり、このタイトルですでにネタバレしている。意訳すると「ネタバレしても他の(人)の楽しみは奪われないですよ~」だからである。
 「じゃ、この論文、読まなくてもネタバレしとるがな」という意見はさておき、この論文の最後にはこう書かれている。「誕生日のプレゼントはセロファンに包まれた方が良く、婚約指輪はチョコレートムースに隠されていない方がよい」。すなわち、人生に数限りのある場合(婚約など)においてのネタバレは、何度もある場合(誕生日)などに比べて、巧妙に隠したネタバレよりも、やはりちゃんとしたサプライズの方がよい、ということになろうか。匂わせたネタバレはよいが、あまりにも巧妙すぎるネタバレであると、楽しみが奪われることを、本論文でも匂わせているのかもしれない。さらに、博士らはその次の論文5)にて、「ネタバレはその言葉(本文ではSpoilers:ぶち壊し人と記述されている)にも関わらず、ストーリーの楽しさを増やし、読者にとっては、何が起こるかを推測するのではなく、審美的な要素を理解することができ、手がかりや出来事を正しく解釈できるようになることで、終わりが分かるようになる」、ことも報告している。
 …ネタバレ注意と書いてあるタイトルの記事を何となく読みたくなるのは、そのせいかもしれない。

1) https://www.weblio.jp/content/ネタバレ (閲覧2018.11.27)
2) https://ejje.weblio.jp/content/ネタバレ (閲覧2018.11.27)
3) https://eow.alc.co.jp/search?q=spoil (閲覧2018.11.27)
4) Leavitt JD, Christenfeld NJ: Story spoilers don't spoil stories. Psychol Sci 22: 1152-1154, 2011.
5) Leavitt JD, Christenfeld NJ: The fluency of spoilers: Why giving away endings improves stories. Scientific Study of Literature 3: 93-104, 2013.

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