地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

ニュース:アッシュ=グレージュ・ワンカー



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:ニュース:アッシュ=グレージュ・ワンカー
報告者:ダレナン

 本物語は、この物語の続きです。

 庶務課の彼女との小話から、このまま、猫ラーメンの営業形態(昼は会社員として営業マン、夜がラーメン屋の店主として)を変えてみたところで、僕が猫ラーメンのCEOとして抜本的な改革になってはいないことが痛感させられた。やはり、ラーメン屋を営業する限り、味が1番、接客が1~2番。庶務課の彼女の話では、僕のラーメン屋としての働きは、味も接客も3、4番。「ギョウザ、忘れてました」(この物語)のレベルでは、もはやおやっさんの看板に申し訳ない。

「○○ちゃん(庶務課の彼女)のおかげで、目が覚めたよ。ありがとう」

 そうして、その日を境に、僕は会社を辞め、「塩でもない、味噌でもない、醤油でもない、ましてや豚骨でもない、そんなラーメンの世界を俺は作ってやるぜ」との意気込み(この物語)もむなしく、おやっさんから引き継いだラーメン屋もたたみ、タンちゃんとの想い出に浸る、ひきこもりな生活が続いた。タンちゃん(愛称:ラーちゃん)と、ラーちゃんラーメンを経営する恋のふぉらんちゃいず化もすでに夢また夢で、眠りの夢の中で、ラーちゃん(タンちゃん)と手を組みながら、新しいラーメンの開発にいそしんでいたあのころ(この物語)が、今ではとても懐かしく、おやっさんのラーメンに感動し (この物語)、従業員となったあのころ(この物語)も懐かしく、夢見がちな日々を無為に送った。
 その日々の中、以前と同じように、朝目覚めると赤紫の液体が再び、口元からこぼれるようになった。それに呼応するようにニュースでも、

「昨日、ここ十年ほどなかったあの凶悪な事件が再び起こりました。女性が首筋を噛まれて殺害される事件です。被害者は、アッシュ=グレージュ・ワンカーさん(推定23歳)(図)。○○市の路上で、首筋を噛まれて殺害されているところが今朝未明に発見されました。警察は、この凶悪な事件の犯人は…



図 アッシュ=グレージュ・ワンカー1)

と言っている。ぼんやりとしながら、ワンカーかワンカールかも分からずに、ぼーっとニュースを眺めていた。

(そろそろ日本を離れて、イギリスに戻るか…)

 叔母さんに再び手紙を送った…。

1) https://www.pinterest.jp/pin/313563192802159430/ (閲覧2020.1.6)

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