地底たる謎の研究室

3000km深から愛をこめて

湖水をきれいにしているようなもの



「宇宙コロニー( Off-world colonies )での新しい生活が貴方を待っています。チャンスと冒険に満ちた黄金の土地に、再び巡ってきた好運。」 “A new life awaits you in the Off-world colonies. The chance to begin again in a golden land of opportunity and adventure.”

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題名:湖水をきれいにしているようなもの
報告者:ダレナン

 本物語は、この物語の続きです。

 そば屋に着いた。車から降りると、今度は特に晴美さんからの香りに翻弄されることなく、そばにいるお陰か、そばがあるお陰か、守られていると感じた(この物語)。自然と晴美さんと手を繋ぎながら、店に入った。たぶん傍から見れば、僕たちは恋人同士に見えたかもしれない。
 ”愛してる”のは琉花。でも、晴美さんとのそれは、ろ過作用のようで、湖の水を大きなろ紙でろ過して湖水をきれいにしているようなもの1)に似ていた。言い換えれば、入水管から湖水と一緒に水中の浮遊懸濁物を取り込み、鰓で濾して餌として体内に取り入れた後、濾し取った水を出水管から排出し湖に戻す1)過程に似ていた。晴美さんといると、こころが洗われる、と同時に、表われる。素直な僕が。そして、そこにすんなりと身をゆだねることができる。それはあの時と同じかもしれない。晴美さんに「寄りかかってもいいよ」とつぶやかれた時と(この物語)。
 しばらくして、頼んだそばがきた。薬味をすべて椀に入れ(図)、そのまま、かきこむようにあっという間に食べ終えた。



図 東風のそばで2)

晴美「カツオくん。相当にお腹空いていたんだね。食べるの早くて、びっくりした。もうひとそば頼む?」

「いや、今日の夜は晴美さんの手料理だから、このぐらいでいいかな…。このぶんだと夜はきっと腹ペコペコだな。楽しみだなー」

晴美:「うん、夜はいっぱい食べてね。20歳以上の飲み物(お酒)も準備しておく」

「ありがとう」 晴美さんから素敵な笑顔がこぼれた。

「今日これで帰ると、大体3時から4時ぐらいの間に着きそうだけど、それで、大丈夫?」

晴美:「平気。料理、作るの慣れているから。じゃぁね、琉花と一緒に6時半ごろにわたしのアパートまで来てくれるかな。アパートの場所は琉花が知っているけど、帰りに教えるね。今朝、待ち合わせした場所のすぐ近くだけど…」

1) 中村幹雄: シジミ学入門. 日本シジミ研究所. 2018.
2) http://izumosoba.com/archives/smap/東風-《こち》%e3%80%80(松江) (閲覧2020.2.14)

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